分析 ・ 運営
満席なのに手元に残らない、飲食店を蝕む三つの見えない穴
日本の飲食業界の平均純利益率は5.2%まで下がりました。誰も測っていないために、誰にも見えていない三つの損失があります。

ある飲食店のオーナーにこう言われたことがあります。毎晩満席なのに、もう半年も自分の給料を取っていない。彼だけではありませんし、これはコストが上がったという話だけでもありません。誰も測っていない損失の話です。
日本の飲食店が実際に残せている利益
日本の飲食業界の平均純利益率は5.2%まで下がりました。4年前は8%から12%です。人件費は営業費用の38.5%を占め、2020年の35.2%から上昇。原材料費は2023年の1年だけで8.1%上がっています。
すべてが高くなっている、これは事実です。しかし説明はそれだけではありません。苦しんでいる店の多くは、見えない穴を抱えています。どの指標もそこを見ていないために、見えないままの損失です。
穴1、どの料理が儲かっているかを知らない
最も多いのがこれです。経営者は各料理の売価を知っていますし、材料費もおおよそ把握しています。しかし、売上で加重した料理別の粗利を計算したことがありません。
街のイタリアンで行った監査の例です。同じメニューに載った二つの料理が、正反対の姿をしていました。
| 料理 | 売上構成比 | 粗利率 |
|---|---|---|
| ピッツァ・マルゲリータ | 35% | 62% |
| 輸入ブラータのニョッキ | 8% | 18% |
店の誰も気づいていませんでした。私たちは理論原価ではなく実質原価を料理ごとに計算し直します。端材、失敗、サービス分を含め、そのうえで数量で加重する。ほぼ毎回、一品か二品が単独で全体の収益性を引き下げていることが判明します。
着席型の飲食店なら、原価率、いわゆるフードコストは売上の28%から32%に収まるべきです。35%を超えたら、問題はもうメニューの出来ではありません。
穴2、シフトが客足と噛み合っていない
火曜日の14時に、3人のお客様に対してホールに4人。よくある光景です。問題は時給ではなく、その時間帯の売上とシフトとのずれです。
多くの経営者は人件費を月末に一行で読みます。水曜の午後が3時間続けて人件費率85%になっていることも、金曜の夜のピークに一人分の手が足りていないことも、そこには出てきません。
POSのデータとシフト表を突き合わせると、その両方が同時に見えます。整え直すと、サービスの質を落とさずに人件費の15%から20%が戻ってくるのが通例で、質がむしろ上がることもあります。
穴3、誰も交渉し直さない固定費
日本では、交渉可能な費用が実に多くあります。個人店の経営者はそれを知らないか、切り出せないままでいます。
- デリバリー手数料:Uber Eatsや出前館は、取引量が安定していれば交渉できます。
- 消費税:制度は事業者区分と基準額次第で、開業後に見直されることはほとんどありません。
- ガスと電気:毎年交渉できますが、小規模店の70%は一度も行いません。
- 食品廃棄物:専門業者に切り替えると、自治体回収の半額になることも珍しくありません。
小規模店なら、この四つで月4万円から8万円、年間50万円から100万円になります。開業以来一度も開き直されていない契約の中で、半人分の給料が眠っている計算です。
本当の問題は、指標がないこと
この三つの穴に共通するのは、指標がなければ見えないという一点です。そして答えは、夜中まで表計算と格闘することではなく、五つの数字を追うことです。
- 実質原価率、日次で。
- 人件費比率、時間帯別に。
- 料理別の粗利、売上で加重して。
- 予想売上と実績の差。
- 客席稼働率、営業区分ごとに。
週に20分、五つの数字を見るほうが、年に一度の監査より効きます。
この指標を置き、時間をかけて守り続けること。立て直しの期間に、私たちが担う部分です。経営の立て直し



