分析 ・ ハンバーガー

東京のハンバーガー市場が1兆円を超えた

記録的な市場規模、チェーンを取り合うファンド、そしてステーキ並みの価格で売れるバーガー。東京に参入するブランドが知っておくべきこと。

東京のバーガーショップのカウンター。鉄板の上でパティをヘラで押しつぶす料理人の手と、その脇に並ぶバンズ。

2025年11月。348店舗と二桁成長を持つバーガーキング・ジャパンが売却の対象になりました。77店舗から348店舗へと育てた香港のファンドが、ゴールドマン・サックスを優先交渉先としています。同じ月、帝国データバンクの年次調査が発表され、日本のハンバーガー店市場は2年連続で1兆円を超えました。30年にわたり日本のデフレの象徴だったハンバーガーは、ファンドが取り合う資産になったのです。

記録的な市場、そして高価格帯への移行

日本を代表する経済データ会社である帝国データバンクは、2026年2月にハンバーガー店の年次調査を公表しました。2025年度、つまり2025年4月から2026年3月までの事業者売上は約1兆300億円。前年比2%増です。前年度に初めて1兆円を超えていました。

日本のハンバーガー店市場
指標数値
2025年度の事業者売上1兆300億円
前年比+2%
2024年度、初の1兆円超え1兆160億円、+7%
主要10チェーンの店舗数5,300店、+1.6%
1世帯あたり年間支出、2023年5,929円
同、20年前3,161円

帝国データバンクは3つの理由を挙げています。第一に、チェーン各社がコスト上昇を価格に転嫁できたこと。原材料、物流、人件費を含めた上昇分が価格に反映され、日本の客はそれを受け入れました。第二に、市場が二極化したこと。一方にマクドナルドが押さえる利便性のバーガー、もう一方にモス、バーガーキング、グルメ系が担う体験のバーガー。二つの極が互いを押し上げています。第三に、観光です。2025年に4,000万人を超えた訪日外国人に対し、和牛バーガーや日本発のコンセプトは、人の流れる街での直接の集客商品になりました。

二つの極、二つの論理

第一の極は壁です。日本マクドナルドは3,045店舗、2025年の全店売上8,886億円、既存店売上は43四半期連続の増加。日本のアナリストはもはやファストフードチェーンではなく、生活のインフラとして語ります。その後ろで、ロッテリア(約400店)、フレッシュネスバーガー(約140店)、そして1970年創業の日本最古のチェーンで復活の途上にあるドムドムハンバーガーが残りを分け合っています。誰もマクドナルドの土俵では戦いません。それは誤りだからです。

第二の極が、まだ場所の空いているところです。モスバーガーは国内約1,300店、海外400店超を持ち、2026年3月期の売上は1,027億円。冷凍のMOS Deliの立ち上げやおぼんdeごはんの買収で、店舗の外へも広がっています。バーガーキング・ジャパンは2019年の77店舗から2026年3月に348店舗へ。2028年末に600店舗、1,200億円という目標を掲げており、進行中の売却はこの軌道を評価するものであって、否定するものではありません。シェイクシャックは日本進出10年で18店舗。2025年に4店舗を開き、成田で初の空港店舗も出しました。

そして韓国のチェーン、マムズタッチは、3週間で33,000人を集めたポップアップののち、渋谷に旗艦店を開きました。海外ブランドが今も行列をつくれることの証明です。

スマッシュバーガー、加速する波

技術そのものは単純です。高温の鉄板にパティを押しつけ、縁を香ばしく焼き、やわらかいバンズで挟む。米国から来たこの手法は2023年春から日本に定着し、勢いは衰えていません。

  • Mikkeller Burger:二子玉川。日本にスマッシュを広めたとされる旧ミッケラー神田で、国産とニュージーランド産の合挽きを毎朝挽いています。
  • TEDDY BROWN:広尾。2025年4月開店。国産和牛100%のスマッシュに専用開発のバンズを合わせ、食べログ ハンバーガー百名店2026に入りました。
  • Neo Nice Burger:渋谷。I'm Donut? のチームによる自家製アンガススマッシュを450円から。ファストフードの価格でグルメを出しています。

参入するブランドにとって、これは最も合理的な形態です。鉄板ひとつ、短いメニュー、1,200〜1,600円という入りやすい価格、そしてメディアが取り上げやすい絵。東京にはまだ、スマッシュの全国的な王者がいません。

和牛、観光における第一の武器

帝国データバンクははっきりと書いています。和牛バーガーは訪日客にとって主要な集客商品になった、と。日本には他にない素材があり、観光がそれを販売の武器に変えました。

浅草のTHE WAGYU BROTHERSは2024年11月開店。A5のザブトンを使ったステーキバーガーを4,295円で出します。六本木のHIROKIYAは同名の焼肉ブランドが手がけ、つなぎを使わないA5100%のパティで2025年6月に好調な滑り出しを見せました。食べログ百名店2026で1位のGui's Burgerは、今日は宮崎、明日は島根と、生産者を日ごとに選んで1,600円です。

1,600円から4,300円。日本の消費者は今、ステーキと同じ価格のバーガーを受け入れています。5年前には考えられないことでした。

第4の波、職人的グルメ

フードジャーナリストのリー・マユミ氏は、日本のバーガーの流れを4つの波で説明します。1970年代のチェーン。2000年代の佐世保バーガーに代表されるご当地バーガー。2015年のシェイクシャックに始まる海外グルメブランドの上陸。そして現在、バンズからケチャップまで自家製でつくる店の世代です。

東京の基準となる店はすでに定着しています。2003年からの先駆けで、2025年7月に移転し鉄板に切り替えたI-Kousya。1998年から本郷に続く老舗のFire House。恵比寿と白金で国産牛と天然酵母のバンズを使うBurger Mania。渋谷のReg-On Diner。日本橋のBrothers。

覚えておくべき数字があります。食べログによれば、2024年12月から2025年11月までに日本で200店の新しいバーガーショップが開きました。ニッチも広がっています。清澄白河のSABURO 36は牛タン100%のパティ。鎌倉のNagisaは薪火で焼きます。本郷のapple Burgerは、りんごとシナモンのバーガーを1,903円で出しています。

実際にかかる費用

目安の数字です。実際の物件に合わせて詰める必要があります。

東京での1店舗目
項目目安
敷金・礼金家賃6〜10か月分を前払い
内装、テイクアウトのキオスク1,000万〜1,500万円
内装、着席のフルサービス3,000万円前後
総予算、コンパクトな1号店1,500万〜3,000万円
法人設立から開店まで12〜18か月

契約に署名する前に知っておくべき、日本固有の点が3つあります。

  • 許可はブランドではなく物件に紐づく:各物件が保健所の検査を通る必要があります。食品営業許可、食品衛生責任者の選任、HACCPに沿った手順が求められます。
  • 賃貸契約には保証人が求められることが多い:多くは有料の保証会社です。資金計画に組み込んでおく必要があります。
  • 人手が最も重要な項目:構造的な人手不足に加え、2026年以降は外国人の在留資格の枠も絞られています。開店のペースを決めるのは工事ではなく、ここです。

海外ブランドに向けた私たちの見立て

  • スマッシュが最も合理的な入口:初期投資が抑えられ、メニューは短く、価格は入りやすく、メディアの波が来ていて、競合はまだ分散しています。和牛は訪日客を捉えるための上位の武器であって、モデルの中心ではありません。
  • マクドナルドに価格で挑まない:利便性の極は押さえられています。勝負は体験で決まります。目に見えて良い商品、自家製のバンズ、語れる物語です。
  • まず東京で、証明として:実際のデータを生む1号店を出し、それから広げる。シェイクシャックもバーガーキングも、それぞれのやり方でそうしました。
  • 観光は加速装置であって、土台ではない:訪日客は一年中戻ってきません。モデルは地元の客で成立し、観光客はその上乗せであるべきです。
  • 本当のリスクは日本の固定費:家賃、敷金礼金、人件費。東京のバーガーは、コンセプトではなく運営で決まります。

タイミングを一文で言えば、市場は伸びており、ファンドが評価しており、消費者は高価格を受け入れており、そして東京にはまだプレミアムバーガーの王者がいません。賃貸契約、仕入先、採用は、まさに私たちが事業者と一緒に準備するところです。開業サポート

出典

よくあるご質問

日本のハンバーガー市場の規模はどれくらいですか。

帝国データバンクによれば、2025年度で約1兆300億円です。前年度に初めて1兆円を超え、記録を更新し続けています。

東京のハンバーガー市場は伸びていますか。

はい。消費者に受け入れられた値上げ、ファストフードと体験型バーガーの二極化、そして観光が牽引しています。2024年12月から2025年11月までに、日本で200店が新規開業しました。

スマッシュバーガーとは何ですか。

高温の鉄板にパティを押しつけ、縁を香ばしく焼いたバーガーです。2023年ごろに日本へ入り、新規参入者にとって最も勢いのあるトレンドであり続けています。

東京のプレミアムバーガーはいくらですか。

標準的なスマッシュで1,200〜1,600円、和牛で1,600〜4,300円です。日本の市場は今、ステーキ並みの価格を受け入れています。

東京でバーガーショップを開くといくらかかりますか。

コンパクトな1号店で1,500万〜3,000万円。敷金礼金、内装、設備、運転資金を含みます。法人設立から開店までは12〜18か月を見てください。

海外ブランドにとって直接の競合はどこですか。

体験の極ではモスバーガー、バーガーキング・ジャパン、シェイクシャック。独立系グルメではI-Kousya、Fire House、Burger Mania。利便性の極はマクドナルドのものです。

ジェラールアレクサンドルのポートレート。

ジェラールアレクサンドル

戦略・ブランド・仕組み · 市場での立ち位置、ブランド構築、事業計画、顧客管理ツール、データ活用。

ニュースレター

土台ジャーナル、毎週。

東京で開いたばかりの飲食店と店舗を、歩いて見つけた記録として。バックナンバーは登録なしで全文お読みいただけます。

バックナンバー →

ガイドは知識を与えます。計画は、個別に見る必要があります。

あなたの計画を、拝見します。

30分の相談を予約する

ご相談より、お見積りをご希望ですか? お見積りを依頼する