実践ガイド ・ 予算
2026年、東京で飲食店を開業するにはいくら必要か:項目別の実質予算
物件、内装工事、厨房設備、許認可、採用、運転資金。東京での開業に実際にかかる金額を、項目ごとに積み上げました。

東京での開業費用は、エリア、業態、物件の状態によって4倍以上変わります。それでも信頼できる目安はあります。公開データと、弊社が実際に手がけたプロジェクトに基づいた、項目別の予算をまとめました。
総額の目安は1,900万円から6,400万円
WhereToOpenによれば、2026年の東京における飲食店開業費用の総額は1,900万円から6,400万円。日本政策金融公庫の2024年度新規開業実態調査では、開業費用の平均は約985万円とされています。
この差を生む要因はただ一つ、物件の状態です。厨房設備が残っている居抜き物件なら、工事費は二分の一から三分の一に収まります。スケルトン物件はその逆で、目に見えない部分を含めてすべてを一からつくることになります。
項目1、物件取得
外国人経営者が最も驚くのは月額家賃ではなく、契約時の初期費用です。鍵を受け取る前に、四つの支出が発生します。
- 敷金:家賃の6か月から10か月分、場合により12か月分。退去時に一部返還されますが、全額ではありません。
- 礼金:家賃の1か月から6か月分。返還はありません。
- 仲介手数料:家賃の1か月分。
- 月額家賃:中目黒、恵比寿、渋谷、下北沢などで50から80㎡で月30万円から60万円。
月額40万円の物件で敷金8か月、礼金3か月なら、椅子を一脚置く前に480万円を支払う計算です。
さらに保証人の問題が残ります。日本での実績がない外国人経営者はほぼ例外なく保証会社を使うことになり、年間で家賃の50%から100%がかかります。
項目2、内装工事と設備
最も変動の大きい項目であり、物件の状態がそのまま金額に出る項目です。Excuseme.jpが2026年に集計した相場は次のとおり。
| 物件タイプ | 工事費用 |
|---|---|
| スケルトン | 800万円から1,500万円 |
| 一部設備付きの居抜き | 400万円から800万円 |
| そのまま使える居抜き | 100万円から300万円 |
飲食店で最も費用がかかるのは厨房です。排気フード、冷蔵庫、ステンレス作業台、シンク。業務用厨房一式で300万円から600万円、客席・カウンター・照明・家具で200万円から500万円を見ておいてください。
初期見積もりで見落とされがちなのが、消防・安全基準への対応で、50万円から100万円。飲食店として使われたことのない物件なら、さらにかかります。
項目3、許認可と登記
日本で飲食店を開くには、管轄の保健所による立入検査を経て飲食店営業許可を取得する必要があります。
- 飲食店営業許可:1万円から3万円。
- 酒類関連の免許、必要な場合:2万円から5万円。
- 会社設立、合同会社または株式会社:公証役場と登録免許税で15万円から30万円。
- 商標登録、任意だが推奨:3万円から10万円。
会社設立と許認可を行政書士や弁護士に依頼する場合は、30万円から50万円を加算します。書類仕事にしては高額ですが、差し戻される申請が一件減るだけで元が取れます。
項目4、採用と人件費
2025年10月の経営管理ビザ改正により、外国人経営者は日本人または永住者を少なくとも1名、フルタイムで雇用することが必要になりました。選択肢ではなく、在留資格の条件です。
- 料理長:月35万円から50万円。
- 副料理長:月25万円から35万円。
- ホールスタッフ:月20万円から30万円、パートなら時給1,200円から1,500円。
これに社会保険料約15%を上乗せします。最小構成の3名から4名で、月間の人件費は100万円から150万円になります。
項目5、運転資金
最も忘れられやすく、そして店を閉めさせる項目です。初月に売上は立ちませんし、3か月目でも想定の水準に届くことはまれです。それをあてにせずに持ちこたえる必要があります。
最初の一皿を出す前に、6か月分の運営コストを手元に。
家賃40万円、従業員3名、通常の原価で回す小規模の店なら、月間の運営費は100万円から150万円。安全資金として600万円から900万円が必要になります。
まとめ、街の小さな飲食店の場合
三軒茶屋や学芸大学のようなエリアで50から60㎡、25席という現実的な例です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 敷金・礼金・仲介手数料 | 400万円 |
| 内装工事、一部設備付きの居抜き | 500万円 |
| 厨房設備 | 350万円 |
| 家具・内装 | 200万円 |
| 許認可・会社設立 | 50万円 |
| 運転資金、6か月分 | 700万円 |
| 合計 | 2,200万円 |
これで下限です。恵比寿や代官山のような中心部なら30%から50%増し、スケルトン物件なら工事費は倍になります。
この予算は開業までをカバーするもので、経営者自身の報酬は含みません。自分に給与を出さずに12か月暮らせる資金を用意していないこと、これが最も多い失敗です。6か月目に顕在化し、その段階では手遅れになります。
契約の前に数字を固めること。開業の準備で、私たちが必ず引き受ける部分です。開業サポート
出典
- WhereToOpen、Cost to Open a Restaurant in Tokyo、2026年
- 日本政策金融公庫、2024年度新規開業実態調査
- Excuseme.jp、2026年の飲食店開業コスト内訳
- Makishpos、2026年の東京の商業用賃料
- 土台スタジオが東京で手がけたF&Bプロジェクト、2024年から2026年



