実践ガイド ・ 進出形態
本社が海外にある会社が、日本で開業する5つの方法
子会社、支店、駐在員事務所、マスターフランチャイズ、合弁会社。それぞれが賃貸契約、許認可、資金に何をもたらすのかを整理します。

あなたのブランドには本社があります。パリ、ロンドン、クアラルンプール、ニューヨーク。最初の問いは日本の「どこで」ではなく「どの形態で」です。多くのブランドはこれを決める前に物件を探し、後悔します。形態が決めるのは、賃貸契約の当事者、ライセンスの保有者、問題時の責任、そして本社への資金の戻り方だからです。
5つの形態を1ページで
海外企業が日本で事業を行う方法は5つあり、加えて「店舗を開かない」という6つ目があります。同等ではありません。選択は3つの基準で決まります。固定してよい資本、保ちたい管理権、そして見据える時間軸です。
それぞれが何を意味するかを見ていきます。
- 日本子会社:親会社が保有する日本法の会社、株式会社または合同会社。完全な法人として契約し、許認可を保有し、雇用し、日本で納税します。本気で根を下ろす企業の選択肢です。
- 支店:日本で事業を行うために登録された親会社そのもの。独立した法人ではなく、親会社が無限責任を負います。販売や連絡拠点に向き、店舗開業にはほとんど向きません。
- 駐在員事務所:最も軽い形態。調査し、面談し、試すことはできます。販売も、請求も、契約もできません。調査段階のための道具であり、それ以上ではありません。
- マスターフランチャイズ:日本のオペレーターがあなたの名前で出店・運営し、ロイヤリティを支払います。投資は相手が負担し、あなたは収入と品質管理を得ます。
- 合弁会社:現地パートナーと共同保有する日本法人。あなたはコンセプトを、相手は現場とネットワークを持ち込みます。
決め手になる比較表
並べてみると、5つの形態はすぐに分かれます。この表はどれが最良かを言うのではなく、あなたが求めるものにどれが合うかを言います。
| 基準 | 子会社 | 支店 | 駐在員事務所 | マスターFC | 合弁会社 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本法人 | あり | なし | なし | なし | あり |
| 責任 | 有限 | 無限 | 親会社 | ロイヤリティに限定 | 分担 |
| 投下資本 | 高い | 中程度 | 低い | なし | 中程度 |
| ブランド管理 | 完全 | 完全 | 完全 | 間接的 | 分担 |
| 参入速度 | 中程度 | 速い | 速い | 速い | 中程度 |
| 適した用途 | 店舗開業 | 販売・連絡 | 市場調査 | 資本をかけない拡大 | 大型の共同案件 |
有用な読み方をひとつ。投下資本の列と管理権の列は、常に逆方向に動きます。資本を固定せずに完全な管理権を与える形態は存在しません。逆を約束する人は、何かを売っています。
マスターフランチャイズ、伸びているモデル
国際ブランドの間で最も速く広がっているモデルであり、直近で最も分かりやすい事例がクリスピー・クリームです。20年間直営で日本に展開してきた同社は、2025年12月に日本事業をユニゾン・キャピタルへ6,500万ドルで売却し、マスターフランチャイズへ移行します。
この動きを丁寧に読んでください。20年かけて直営で市場を築いたブランドが、イメージの主導権は保ったまま、コストを負担しないことを選んだのです。撤退ではなく、業種の転換です。運営者からライセンス供与者へ移るということです。
限界は現実的で、一文で言えます。日本におけるあなたのブランドの価値は、パートナーの価値とちょうど同じになります。質の低いマスターフランチャイズは数か月で評判を損ない、しかもあなたは現場に手を置いていないため、それが来るのを見られません。
合弁会社と、出口の問題
最も知られた事例はスターバックスです。1995年の日本参入時、市場を熟知する日本の小売企業サザビーリーグと合弁会社を設立しました。合弁が全国展開を担い、主導権を取り戻す時が来た2014年、スターバックスは全株式を9億1,300万ドルで買い取りました。
合弁が正しい選択となるのは、パートナーが物件網、仕入先の知識、運営能力といった現実の価値を持ち込むとき、そして案件が単なるライセンスには大きすぎるときです。安心を得るために結ぶ合弁は、間違った選択です。
よく交渉された合弁は、初日に出口を定めています。そうでない合弁は、手遅れになってからそれに気づきます。
ほぼ全員が軽視する点です。スターバックスが買い取れたのは、買い取りが最初から想定されていたからです。多くの企業は、売る理由をまったく持たないパートナーとともに、合弁が檻になっていたことを知ります。
形態が実際に変えるもの
きわめて実務的な3つのことが、この決定に直接左右されます。そして選択を軽くしたとき、案件を止めるのはこの3つです。
- 銀行口座:日本の銀行は法人口座の開設に登録された日本法人を求めます。ブランドを子会社へ向かわせるのは、法律上の理由よりもこの実務上の理由であることが多いのです。
- 許認可:営業許可は特定の物件に対して日本法人へ発行されます。子会社は通常の枠組みに入り、支店は業種によって制限に直面することがあります。
- ビザ:子会社は直接雇用し、企業内転勤の在留資格を支援できます。親会社からマネージャーを迎える最も簡単な手段です。
この3点が、費用が高いにもかかわらず実務で子会社が主流である理由です。書類上で最も美しい形態ではなく、日々を前に進める形態なのです。
選ぶ前の5つの問い
普遍的に正しい形態はありません。あなたの状況、予算、時間軸に合う形態があるだけです。ほとんどの場合、この5つの問いで決着します。
- 自社で運営するのか、それともパートナーに運営してもらうのか。
- 日本に資本を固定する準備があるか、そしてどれくらいの期間か。
- 完全な管理権が必要か。イメージと実行の両方について。
- 時間軸はどこにあるか。市場を試すのか、資産を築くのか。
- 自社側で現場を知るのは誰か、そしてどの程度知っているのか。
これらは何ひとつ固定されていません。クリスピー・クリームは直営で始め、20年後にフランチャイズへ移ります。スターバックスは合弁で入り、パートナーを買い取りました。今日の選択は生涯の約束ではありませんが、目を開けて行う必要があります。
出典
- JETRO, Setting Up Business in Japan, guide officiel
- Loi japonaise sur les sociétés, articles 817 à 823, régime de la succursale
- Global Law Experts, Japan Branch Office vs Subsidiary
- Export to Japan, la succursale comme extension de la maison mère
- World Coffee Portal, Krispy Kreme cède ses opérations japonaises à Unison Capital, décembre 2025
- Tasting Table, la coentreprise Starbucks et Sazaby League, 1995 puis 2014
- One Step Beyond, franchising in Japan for global brands
よくあるご質問
子会社と支店の違いは何ですか。
子会社(株式会社または合同会社)は、親会社が保有する独立した日本法人です。支店は日本で事業を行うために登録された親会社そのもので、責任は親会社が無限に負います。
支店でレストランを開けますか。
業種によっては可能ですが、営業許可は日本法人に発行され、一部の業態は支店を制限します。店舗を開くのであれば、ほぼ常に子会社が適しています。
駐在員事務所は何のためのものですか。
市場調査のためです。パートナーとの面談、データ収集、テストの実施ができます。自らの名義で販売、請求、契約はできません。調査段階の道具であり、事業運営のためではありません。
マスターフランチャイズはどう機能しますか。
ブランドが日本のオペレーターに自社名での出店権をロイヤリティと引き換えに付与します。投資、物件、人材はオペレーターが負担します。クリスピー・クリームは2025年12月からこのモデルへ移行しています。
日本進出に現地パートナーは必須ですか。
いいえ。海外ブランドはパートナーなしで100%子会社を設立できます。合弁やマスターフランチャイズは戦略的な選択であり、法的な義務ではありません。



