実践ガイド ・ 免税

免税制度が2026年11月1日にリファンド方式へ移行 販売店が準備すべきこと

2026年11月1日、日本の免税販売はリファンド方式に移行します。免税購入対象者は店頭で消費税を含めて支払い、出国時の税関確認を経て税額の返金を受けます。訪日客に販売する店舗、百貨店、海外ブランドにとって何が変わるのかを整理します。

東京の店舗の木のカウンターで、レシートと旅券を載せたトレーの横、クラフト紙の袋を折りたたむ店員の手元。

2026年11月1日、東京の新丸の内ビルディング地下に共同の免税カウンターが開設されます。運営する三菱地所プロパティマネジメントによると、このカウンターは丸の内エリア9棟の52店舗の免税手続きをまとめて受け付けるとのことです。開設日は、日本の免税制度が切り替わる日と同じです。

要点

同日以降、輸出物品販売場は訪日客に免税価格で販売しません。税込価格で販売して購入記録情報を国税庁に送信し、出国時に税関が物品の持ち出しを確認した後、10%の消費税相当額を購入者に返金します。国税庁はこの仕組みをリファンド方式と呼んでいます。

  • 2026年11月1日以降、販売店は消費税を受け取り、税関確認の後に返金します。税関確認は購入日から90日以内に受ける必要があります。経過措置はなく、10月31日の販売は旧制度、11月1日の販売は新制度の対象です(国税庁、リファンド方式Q&A)。
  • 購入ルールは簡素になります。一般物品と消耗品の区分がなくなり、消耗品の50万円の上限と特殊包装も廃止されます。1店舗1日あたり税抜5,000円以上という下限は残ります(財務省)。
  • 返金は販売店が自ら、または承認送受信事業者と組んで手配します。法令は返金の方法も期限も定めていません。銀行振込、クレジットカード、アプリ決済、出国する港や空港での現金の受け渡しが想定されています(国税庁)。

制度変更の背景

国が制度を改めるのは、免税で購入した物品の国内での転売を防ぐためです。財務省の説明では、2020年4月に免税販売手続きが電子化されたことで、国外に持ち出されない高額購入が多数あることが分かったとされています。

財務省はさらに、出国時に高額な免税購入を確認された旅行者の多くがすでに物品を所持しておらず、課された消費税を納めないまま出国する例が大半だったとしています。後から免税販売を否認されることを懸念して、自主的に購入を制限する販売店もありました。

今回の見直しは令和7年度税制改正に盛り込まれたもので、多くの国がすでに採用しているリファンド方式に倣っています。免税制度は引き続き観光政策の柱です。観光庁によると、2025年9月30日時点の輸出物品販売場は64,499店で、2025年の訪日外国人旅行消費額は過去最高の9兆4,549億円でした。

販売の流れの変化

免税販売は、旅券の提示から返金まで8つの段階を踏むことになります。レジでの作業はこれまでとほぼ同じですが、販売店は消費税を受け取り、確認が届いてから返金します。

項目2026年10月31日まで2026年11月1日から
店頭価格免税価格税込価格
購入記録情報国税庁に送信国税庁に送信(新しい仕様)
包装消耗品は特殊包装包装の義務なし
出国時の確認行われる場合がある免税の要件、購入から90日以内
消費税受け取らない受け取り、確認後に返金
確認がない場合出国時に旅行者から徴収販売店の課税売上として扱う

販売店は旅券と免税購入対象者であることを確認し、税込価格で販売して、購入記録情報を国税庁の免税販売管理システムに送信します。ここまでは現行の手順と変わりません。購入者は出国時に物品を税関に提示します。税関確認の結果は国税庁に送られ、販売店は自らAPIで照会してその結果を取得します。

確認を受け取った販売店は購入者に返金し、その販売を免税売上として計上します。90日以内に確認が届かなければ、その販売は課税売上として確定します。販売店は受け取った消費税をそのまま保持し、通常の売上と同様に納付します。

購入ルールの簡素化

購入者から見ると、ルールは分かりやすくなります。財務省は、2014年から続いてきた消耗品(化粧品、食品、酒類など)と一般物品(衣料品、家電、革製品など)の区分を廃止します。

あわせて、消耗品に設けられていた1店舗1日あたり税抜50万円の上限と、特殊包装の義務もなくなります。通常生活の用に供するものに限るという要件も撤廃されます。金地金や、金や白金の貨幣は引き続き対象外です。

下限額は変わりません。1店舗1日あたり税抜5,000円(約28ユーロ)で、今後はすべての物品の合計で判定します。1点100万円以上の物品については、販売店は購入記録情報に商品の詳細を記載する必要があります。ブランド名、型番、仕様のほか、時計であればシリアル番号も含みます。

注意点:1枚のレシートに1つの確認

税関はレシート単位で持ち出しを確認します。同じレシートに載った物品のうち1点でも提示できなければ、そのレシートの物品はすべて確認を受けられず、販売店はそのレシート分の消費税を返金できません。

この点は販売時の説明に関わります。ホテルで化粧品の箱を開けた購入者や、滞在中に贈り物として手放した購入者は、その購入全体の免税を受けられません。スタッフは販売時に購入者の言語でこの点を説明し、レシートには商品名を正確に記載する必要があります。商品名があいまいな場合も、確認を受けられないおそれがあります。

旅行者向けには、観光庁も旅行メディアも同じ手順を案内しています。購入品は未使用のまま持ち帰り、空港で手荷物を預ける前に免税手続き用の端末で旅券を読み取るか、オンラインのVisit Japan Webを利用し、税関から求められれば物品を提示する、という流れです。

返金の手配

販売店にとっての新しい業務は返金で、その方法は各店に委ねられています。国税庁は、銀行振込、クレジットカードへの返金、アプリ決済、出国する港や空港での現金の受け渡しを例に挙げています。

販売店は自ら返金することも、承認送受信事業者に返金を委託することもできます。税関確認の前に返金することも可能ですが、その場合のリスクは販売店が負います。購入者が税関確認を受けなければ免税は適用されず、返金した額について消費税が課されます。

丸の内では、新丸の内ビルディングの共同カウンターが大型商業施設の選んだ対応策になっています。数十のテナントの手続きを1つの窓口が引き受け、各店のスタッフの負担を減らす形です。

販売店の手続き

すでに輸出物品販売場の許可を受けている店舗は、改めて申請する必要はありません。国税庁によると、2026年10月31日時点で許可を受けている販売場は、運営形態に応じて、11月1日に新制度の許可を受けたものとみなされます。

新規の許可申請は2026年10月1日から受け付けています。新制度では区分も整理されます。一般型と手続委託型の区別がなくなり、一般の販売場と自動販売機型が残ります。販売手続きを承認送受信事業者に委託することは引き続き可能です。

システム面では、POSや免税販売システムを国税庁の新しい仕様に対応させる必要があります。新仕様には、税関確認の結果を取得する機能が加わります。まずはPOSの提供事業者に、改修の準備状況と費用を確認することをお勧めします。

海外ブランドにとっての要点

日本で店舗やポップアップを展開する海外ブランドにとって、免税対応は開業前に準備しておくべきサービスの一部になります。返金を誰がどの方法で行うかを決め、レシート単位のルールを説明できるようスタッフを教育し、POSが正しい形式でデータを送信できるかを確認する必要があります。

商業施設内の直営店であれば、丸の内の例のように、施設の共同カウンターを利用できる場合が多いと考えられます。路面店やポップアップは、POSの提供事業者とともに自ら対応を決めなければなりません。Dodai Studioでは、開業を支援するブランドについて、賃貸借契約や採用と並んでこの免税対応も扱っています。初日の売上に直結するためです。

出典

よくあるご質問

新しい免税制度はいつから始まりますか。

2026年11月1日以降のすべての販売が対象です。経過措置はなく、10月31日の販売は旧制度、11月1日の販売は新制度で扱われます。免税販売を続ける販売店は、この日までに準備を整える必要があります。

5,000円の下限は残りますか。

残ります。購入者は同じ販売店で同じ日に税抜5,000円以上を購入する必要があります。2026年11月1日以降は、消耗品と一般物品を区別せず、すべての物品の合計で判定します。消耗品の50万円の上限はなくなります。

訪日客への返金は誰が行いますか。

販売を行った販売店が、自ら、または選定した承認送受信事業者を通じて行います。返金方法は法令で定められておらず、銀行振込、クレジットカード、アプリ、出国する港や空港での現金などが考えられます。原則として、税関確認の後に返金します。

訪日客が税関確認を受けなかった場合はどうなりますか。

購入から90日以内に税関確認がなければ、その販売は課税売上となります。販売店は受け取った消費税を保持して通常の売上と同様に申告し、購入者には返金されません。

すでに免税店の販売店は、再申請が必要ですか。

原則として不要です。国税庁によると、2026年10月31日時点で許可を受けている販売場は、11月1日に新制度の許可を受けたものとみなされます。ただし、POSや免税販売システムの更新と、返金の手配は必要です。

ポップアップで免税販売はできますか。

許可を受けた販売場に紐づいていれば可能です。制度には輸出物品販売場の臨時販売場の仕組みがあり、多くの商業施設や百貨店が独自の免税カウンターを設けています。賃借したギャラリーでのポップアップの場合は、施設の運営者や販売を担う会社と事前に調整する必要があります。

ジェラールアレクサンドルのポートレート。

ジェラールアレクサンドル

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