実践ガイド ・ ポップアップ

東京でポップアップストアを開く:2026年完全ガイド

週末だけ借りるギャラリーから百貨店の催事まで。東京のポップアップの形式、会場と料金、日本法人なしで決められること、準備のスケジュールをまとめます。

東京で開かれたインディペンデントブランドのポップアップ初日。赤いラック、トラバーチンのテーブル、後ろ姿の来場者、カウンターで包まれる商品。

2026年10月11日と12日、ニューヨーク発のブランドMerci Demaが、東京で初めてのポップアップを開きます。創業者のメリーさんはミルウォーキー出身の元弁護士で、原宿から徒歩数分の千駄ヶ谷に路面の会場を2日間借りました。第2コレクション「Borough Appreciation」を、東京のアーティストDaichi Minatoさんの作品、ハンバーガーのPon Pon Burgerとともに紹介し、2日間とも会場に立ちます。

この記事の要点

ポップアップストアとは、賃貸契約を結ばずに数日から数週間だけ開く販売の場です。海外ブランドは日本法人を設立しなくても東京でポップアップを開けます。日本の会社に運営を任せる方法と、納税管理人を置いて自社名義で販売する方法があります。賃料は、小さな区画なら1日数千円から、大型イベントスペースでは200万円を超えます。

  • 会場より先に形式を決めます。路面の期間限定店舗、商業施設のポップアップスペース、大型イベントスペース、百貨店の催事の4つで、料金、準備期間、販売の仕組みがそれぞれ異なります。
  • 予算に応じた会場があります。小さなギャラリーや銀座の貸会議室なら1日5万円未満、渋谷の商業施設では10万〜50万円、表参道ヒルズのスペース オーや六本木ヒルズアリーナでは100万〜250万円です。
  • 自社名義で販売する場合、日本に事務所を持たない海外法人は納税管理人の届出が必要です。日本の会社が運営を担い、会場の契約、売上の受け取り、スタッフの採用をブランドに代わって行う方法もあります。

会場より先に形式を決める

東京のポップアップには4つの形式があり、借り方も売り方も異なります。早めに形式を決めておけば、合わない会場を探す手間が省けます。

  • 路面の期間限定店舗。 ギャラリーや路面の物件を日単位・週単位で借り、ブランドの世界観に合わせて内装をつくります。千駄ヶ谷のMerci Demaがこの形式です。人気のギャラリーは早く埋まり、明治神宮前駅近くのガラス張りの路面ギャラリーは2026年の全日程が予約済みです。内装、価格、顧客との関係を最も自由に決められる形式です。
  • 商業施設のポップアップスペース。 渋谷や原宿の商業施設は、すでに人が集まる場所に専用区画を用意しています。SHIBUYA109はアパレル、雑貨、化粧品、飲食(主にスイーツ)を受け入れ、2024年末には4階で韓国ブランドのポップアッププロジェクトを始め、RONRONとhype2kがいずれも日本初出店となりました。MIYASHITA PARKは6〜56㎡の区画を週単位で貸しています。駅では、ルミネが新宿で固定賃料なし、売上歩合のみの小さな区画を用意しています。
  • 大型イベントスペース。 表参道ヒルズのスペース オー、東京ミッドタウンのアトリウム、六本木ヒルズアリーナ、KITTE丸の内のアトリウムは、コレクションの発表や大規模なブランドイベントに使われます。東京で最も高い会場で、設備費が別にかかります。
  • 百貨店の催事。 百貨店は自社の企画と日程で催事を開き、ブランドを選びます。伊勢丹新宿店の2026年のサロン・デュ・ショコラには過去最多の153ブランドが、同店の3月の英国展(11回目)には100を超えるブランドが参加し、スコーンが1日約1万個売れています。ブランドは区画を借りるのではなく納入業者として販売するため、まず百貨店に選ばれる必要があります。
形式借り方向いているブランド事例
路面の期間限定店舗日単位・週単位自社の世界観で顧客と直接会いたいブランドMerci Dema(千駄ヶ谷、2日間)
商業施設のスペース施設への申し込み、賃料または歩合狙った客層の人通りがほしいブランドSHIBUYA109、MIYASHITA PARK、ルミネ
大型イベントスペース日単位、設備費は別コレクション発表、ブランドイベントスペース オー、東京ミッドタウン、六本木ヒルズ
百貨店の催事百貨店が選定、納入業者として契約バイヤーに選ばれた食品、ギフト、ファッションのブランド伊勢丹のサロン・デュ・ショコラ、英国展

ポップアップは店舗出店の前段階である必要はありません。2024年秋にマーケティング担当者410人を対象に行われた調査では、ブランドが挙げた効果は、認知(52.1%)、売上(39.8%)、新規顧客(35.1%)の順でした。コレクションごとに開くこともできます。

出典:Merci Dema プレスリリース(2026年10月)、SHIBUYA109、MIYASHITA PARK、ルミネ、三越伊勢丹、カウンターワークス調査(2024年)

実際の予算

東京のポップアップは、1日5万円未満でも開けますし、200万円を超える会場もあります。賃料を最も左右するのはエリアで、次に会場の種類、広さはその後です。

SHOPCOUNTER、instabase、ロケーションハンティングなどの仲介サイトでは、1日数千円からの区画があります。路面物件についてSHOPCOUNTERは、郊外で3,000〜7,000円、主要駅周辺や商店街で1万5,000〜3万円、表参道、渋谷、代官山で4万〜20万円という目安を公開しています。表参道には1日3万8,500円から借りられる小さなガラス張りのギャラリーがあり、銀座1丁目にはポップアップにも使える50㎡の会議室が1日2万6,840円で出ています。

価格帯(1日)主な会場事例
10万円未満小さなギャラリー、貸会議室、商業施設や駅近くの区画表参道のガラス張りギャラリー26㎡、3万8,500円から;銀座1丁目の会議室50㎡、2万6,840円;駅周辺の商店街、1万5,000〜3万円
10万〜50万円人気エリアの路面物件、商業施設内の区画表参道、渋谷、代官山の路面物件、最大20万円;MIYASHITA PARKの小区画、平日15万円;渋谷ヒカリエ8/ COURT、40万円;代官山T-SITE GARDEN GALLERY、45万円
50万〜100万円建築家のギャラリー、大型の屋根付き広場神宮前の安藤忠雄設計のギャラリー、60万5,000〜71万5,000円;六本木ヒルズ大屋根プラザ、平日80万円
100万円以上大型イベントスペース表参道ヒルズ スペース オー、100万〜120万円;KITTE丸の内アトリウム、120万円;東京ミッドタウン アトリウム、110万〜165万円;六本木ヒルズアリーナ、200万〜250万円

週単位で貸す会場もあり、MIYASHITA PARKの吹き抜け広場(約56㎡)は1週間300万円です。ハラカド、GINZA SIX、GYRE、百貨店の催事のように料金を公開していない会場もあります。駅では、ルミネが固定賃料の代わりに売上歩合のみで、最低保証なしの小さな区画を貸しています。最も安く始められる方法です。

特に大型の会場では、賃料以外の費用も賃料と同じくらいかかることが多くあります。ポップアップの見積もりには、次の項目が入ります。

  • 設備と警備。 六本木ヒルズアリーナでは音響キットが1日45万円、照明キットが30万円、MIYASHITA PARKでは警備費が1週間25万円です。
  • 設営と撤去。 大型の会場では設営日も有料で、本番日の半額前後が多くなっています。
  • 内装。 什器、ディスプレイ、サイン、照明を、現地で製作またはレンタルします。
  • 販売スタッフ。 期間限定で採用し、ブランドについて研修した、日本語を話すスタッフです。
  • 広報。 プレス、SNS、地域の発信者を通じて、通行人以外の来場者を呼びます。
  • 在庫と物流。 輸送、関税、会期中の保管です。

私たちが、ブランドが決める前に1行ずつ見積もりを出すのはこのためです。合計を左右するのは広さよりも、会期、会場、形式です。

出典:SHOPCOUNTER、instabase、ロケーションハンティングの掲載情報(2026年10月)、森ビル、表参道ヒルズ、東京ミッドタウン、KITTE、MIYASHITA PARK、渋谷ヒカリエ、代官山T-SITE、ルミネの公開料金表。ロケーションハンティングは税込、その他は税別。

販売を誰が担うか

日本で販売するには、会場を借り、売上を受け取り、消費税込みの請求書を出す主体が必要です。海外ブランドには2つの方法があります。

  • 日本の会社が運営を担う。 会場との契約、売上の受け取り、スタッフの採用、請求書の発行を日本の会社が行い、ブランドは商品と世界観を持ち込みます。数日や数週間のために法人を設立する必要はありません。Dodai Studioは、形式と会場に応じて、ブランドに代わってこの役割を担っています。
  • ブランドが自社名義で販売する。 この場合、基準を超えれば消費税の納税義務を負い、納税管理人を置きます。主なルールは次のとおりです。
  • 税率は標準10%、酒類を除く飲食料品は8%です。
  • 原則として、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は免税です。2024年10月1日以降、資本金1,000万円以上の海外法人が日本で販売を始める場合は当初から課税事業者となり、日本に恒久的施設を持たない事業者は簡易課税制度を使えません。
  • 取引先が仕入税額控除を受けられるよう、適格請求書を発行します。この制度は2023年10月1日に始まりました。日本に事務所を持たない法人が納税管理人を届け出ていない場合、国税庁は登録を認めません。
  • 百貨店の場合。 百貨店の催事では、ブランドは納入業者として販売します。大規模小売業者の仕入れ方法としては、買取仕入れ、委託仕入れ、売上仕入れ(消化仕入れ)の3つがあります。大規模小売業者が返品できるのは、納入業者の責任による場合、事前に合意した条件による場合、納入業者の了承を得て損失を負担する場合、納入業者から申し出があった場合の4つに限られます。百貨店の手数料率は公開されていないため、売上を誰が受け取るか、支払日、売れ残り在庫の負担、販売スタッフの手配を契約で確認してください。

出典:国税庁、公正取引委員会

商品:通関、表示、食品

最初の確認は、商品がすでに日本で販売されているかどうかです。販売されていれば、日本の販売代理店や輸入業者から在庫を調達できます。販売されていなければ輸入が必要で、輸入はそれ自体が独自のルールを持つ専門の仕事です。

  • 通関。 日本に居住しない者が自ら輸入する場合は、税関事務管理人を定め、事前に税関に届け出ます。同じ様式(C-7500)で納税管理人の届出もできます。2023年10月1日から、輸入申告では「貨物を輸入する者」の氏名と住所が必須項目になりました。関税率は品目ごとの関税分類で決まります。
  • ATAカルネ。 商品見本、職業用具、展示品を免税で一時輸入できます。有効期間は最長1年で、期限までに再輸出する必要があります。
  • 表示。 輸入食品には、名称、原材料名、添加物、内容量、期限、保存方法に加えて、原産国名と輸入者の氏名・住所の表示が必要です。
  • 食品と酒類。 東京都の短期固定型臨時営業は、地域の祭りやスポーツ大会など、誰でも参加できる一時的な行事が対象で、スーパーや百貨店などで連日行われる販売促進イベントを対象外と明記しています。2021年6月1日からは、常温で保存しても衛生上の危害が生じない包装食品の販売は届出が不要です。酒類は、すでに許可を持つ会場とそうでない会場があり、私たちが最初に確認する点の一つです。

出典:税関、消費者庁、東京都保健医療局、厚生労働省

最も時間がかかるのは会場

ポップアップで最も時間がかかるのは、ほぼ必ず会場探しで、人気の会場は数か月前に埋まります。表参道ヒルズはスペース オーの仮押さえを開催日の6か月前から受け付けています。SHIBUYA109は問い合わせに2〜3営業日で回答し、開店までの準備期間を1〜3か月程度としています。

エリアは狙う客層で選びます。東京のポップアップは原宿と表参道に集中しており、2015年にはそれぞれ全体の38%と29%を占め、半数以上が2週間未満でした。銀座と丸の内は富裕層やオフィスワーカー、渋谷と新宿は駅の人通り、千駄ヶ谷や代官山はブランドを目当てに来る客層に向いています。

費用のかからない助言を一つ。会場は土曜日と火曜日の両方に見に行ってください。ポップアップは、開催する曜日の人通りで決まります。

出典:表参道ヒルズ、SHIBUYA109、CBREの調査(流通ニュース、2019年)

当日

ポップアップの成否は現場で決まります。スタッフ、決済、海外からの来場者への対応です。

  • スタッフ。 期間限定で採用し、ブランドと商品について研修したスタッフで、日本語に加えて、エリアによっては英語や中国語を話せる人を置きます。Merci Demaのメリーさんのように創業者が会場に立つと、最初の顧客との関係が変わります。
  • 決済。 2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%で、その82.7%がクレジットカード、10.2%がコード決済でした。ポップアップでも初日からカードと主要なコード決済に対応します。
  • 海外からの来場者。 2025年の訪日外客数は過去最多の4,268万3,600人で、1人あたり平均22万9,000円を使いました。2026年11月1日から免税制度はリファンド方式に移行し、免税店は消費税を含めて販売し、訪日客が購入から90日以内に出国時の税関確認を受けた後に返金されます。

出典:経済産業省、日本政府観光局、観光庁、国税庁

逆算のスケジュール

私たちが準備するポップアップでは、形式が決まってから4〜6週間が目安です。スケジュールを延ばすのは会場の空き状況です。

時期内容
最大6か月前人気の会場(スペース オー、表参道のギャラリー)を仮押さえ
1〜3か月前商業施設(SHIBUYA109など)への申し込み、販売を誰が担うかの決定、日本未発売の商品の輸入開始
4〜6週間前内装、スタッフ、広報、許可
当日設営、開店、販売、撤去

季節も影響します。日本の百貨店で売上が最も大きいのは12月、最も小さいのは8月です。2025年の売上高は12月が6,542億円、8月が4,139億円で、おせち、クリスマスケーキ、年末の集まりが12月の売上を押し上げました。

出典:日本百貨店協会

早めに決めておきたい5つのこと

  • 会場。 日程を決めるのは会場です。ほかの準備より先に押さえます。
  • 売上を誰が受け取るか。 運営を担う日本の会社か、届け出た納税管理人か。会場と契約する前に決めます。
  • 在庫。 日本ですでに手に入るか、輸入業者を通じて輸入するか。輸入には時間がかかり、独自のルールがあります。
  • 予算の全体。 設備、警備、設営、スタッフ、広報が賃料に加わります。
  • 許可。 会場、形式、飲み物によっては、3週間では取れない許可が必要です。

出典

金額は特記のない限り税抜です。

よくあるご質問

日本でポップアップストアを開くのに日本法人は必要ですか?

必要ありません。日本の会社がブランドに代わって運営を担い、会場の契約、売上の受け取り、採用を行えます。ブランドが自社名義で販売することもでき、その場合は消費税込みの請求書を出すための納税管理人と、自社で輸入する場合は税関事務管理人の届出が必要です。

東京のポップアップストアの費用はどのくらいですか?

賃料は、小さな区画の1日数千円から大型会場の200万円超まで幅があります。表参道の小さなギャラリーや銀座の会議室なら5万円未満、渋谷の商業施設では10万〜50万円、スペース オーや六本木ヒルズアリーナでは100万〜250万円です。設備、警備、設営、スタッフ、広報が別にかかります。

東京でポップアップを準備するのにどのくらいかかりますか?

形式が決まってから4〜6週間が目安で、人気の会場ならさらに前から動きます。表参道ヒルズは6か月前から仮押さえができ、SHIBUYA109は準備期間を1〜3か月程度としています。

東京のどのエリアでポップアップを開くべきですか?

ポップアップが最も多いのは原宿と表参道です。銀座と丸の内は富裕層、渋谷と新宿は駅の人通り、千駄ヶ谷や代官山はブランド目当ての客層に向いています。

ポップアップの後に店舗を出す必要がありますか?

ありません。ポップアップはそれ自体が一つのイベントで、数日で終わるものも多く、ブランドが最も求める効果は認知です。コレクションごとに開くこともできます。

ポップアップで食品や酒類を販売できますか?

会場によってはできます。常温保存できる包装食品は2021年6月1日から届出が不要です。東京都の臨時営業許可は百貨店での販売促進イベントを対象外としており、酒類はすでに許可を持つ会場とそうでない会場があります。

ジェラールアレクサンドルのポートレート。

ジェラールアレクサンドル

戦略・ブランド・仕組み · 市場での立ち位置、ブランド構築、事業計画、顧客管理ツール、データ活用。

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